「子どもの貧困」の具体的なイメージ

 興味深いなと思った記事なのですが、惜しいなと思った点もあるのでそれも込みでご紹介します。

「理想の貧困」に苦しむ…リアル当事者 スマホもライブもダメなの? - withnews(ウィズニュース)

 貧困当事者だという人を「お前は貧困じゃない」と批判する「貧困たたき」で、ずっと気になっていることがあります。たたく人は、頭の中に「これが貧困だ」というある種の「理想」があって、それに当てはまらないから怒るわけですよね。でも、その「理想」って、正しいのでしょうか? 貧困家庭で育った若者たちに、話を聞きました。(朝日新聞東京社会部記者・原田朱美)

 

 昨年のNHKの番組で紹介された貧困女子高生について物議を醸した件を下敷きに多くの人が抱く「理想の貧困」と「貧困家庭の子どものリアル」について貧困家庭で育った大学生5人の話を聞くという構成になっています。

 

 

 

 非常に興味深く読ませていただいたのですが全5回の連載の2回目までしか公開されていないということもあり、残念ながら私には彼らの貧困家庭の具体的なイメージができませんでした。貧困と定義された子ども達が実態はこうだよと一般的なイメージを覆す証言をしてくれるのですが、そこからは貧困の実態はいかなるもので何が問題であるのかが見えてこないのです。

 

 この一番の理由は議論の前提となる「子どもの貧困」の定義が示されていないことだと考えました。例示されているスマホを持てる子ども達、ジャニーズのライブに行ける子どもやゲーム三昧の子どもを何をもって貧困と言っているのかが分からないのです。この問題について精通している記者にとっては当たり前過ぎることなのかもしれませんが、一般の印象を覆すという記事の趣旨からすれば想定する読者はこれらを知らない前提で書かれた方が良かったのになと惜しく感じました。

 

 というわけで、勉強不足な私がしこしこ調べてみました。

 

 5人とも、経済的に苦しい家庭で育ちました。

 日本の子どもの貧困率は、13.9%ですが、この5人が育った家庭の生活水準も、「貧困」と呼べるレベルです。

 

 上記の数字をもとに調べてみるとおそらくこの記事での貧困の定義と思われる資料が見つかりました。厚生労働省のHPにある平成28年 国民生活基礎調査の概況がそれです。

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出典:II 各種世帯の所得等の状況

 

 厚生労働省の調査で13.9%子どもが貧困状態にあると出ているのですね。ではこの定義について見てみましょう。

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出典:国民生活基礎調査(貧困率) よくあるご質問

 

 つまり、等価可処分所得額が貧困線の122万円を下回る世帯の子どもの割合が子どもの貧困率ということになります。せっかくなので世帯の可処分所得ベースに逆算してみましょう。

 

 (等価可処分所得)=(可処分所得)÷(世帯人数の平方根)

 

となりますので、

 

例①:両親と子ども1人の世帯の貧困線(可処分所得換算)

 122(万円) × √3 = 211.3(万円)

 ※12か月で割ると 17.75(万円) 

 

例②:両親と子ども3人の世帯の貧困線(可処分所得換算)

 122(万円) × √5 = 272.8(万円)

 ※12か月で割ると 22.7(万円) 

 

例③:片親と子ども1人の家庭の貧困線(可処分所得換算)

 122(万円) × √2 = 172.5(万円)

 ※12か月で割ると 14.4(万円) 

 

といった金額になります。いかがでしょうか具体的にイメージしていただけたでしょうか?

 

 ご紹介した記事で議論の対象となっているのは明らかに生命維持に支障をきたすレベルの話ではなく、このラインを少し下回る様な層を貧困と定義して社会のセーフティーネットの対象とするべきかという点だと思います。

 

子供の貧困対策 子供の未来応援プロジェクト

■子供の未来応援プロジェクト
明日の日本を支えていくのは今を生きる子供たち。その子供たちが自分の可能性を信じて前向きに挑戦し、未来を切り拓いていける社会にすることが必要です。しかし、生まれ育った環境によって、教育の機会が得られずに将来の可能性が閉ざされてしまう子供たちや、健やかな成長を育むための衣食住が十分確保されていない子供たちがいます。
貧困の連鎖によって、子供たちの無限の可能性の芽を摘むようなことは決してあってはなりません。
このホームページでは、すべての子供たちがそれぞれの夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指して、様々な情報を提供していきます。

 

 引用したのは政府の子どもの貧困対策プロジェクトのページですが、この問題の本質が「子どもの機会の平等」であるということが非常によく記されていると思います。すなわち、どこまでを平等な権利として社会が保障していくかという論点です。

 

 連載があと3回残っているようですので上記の視点で続きを楽しみにしたいと思います。

トランプ「Remember Pearl Harbor」

 訪日前日のツイートだけに少し驚きました(笑)

トランプ氏「リメンバー・パールハーバー」 : 国際 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

「リメンバー・パールハーバー」 トランプ氏つぶやく:朝日新聞デジタル

「真珠湾を忘れるな」トランプ氏つぶやく(毎日新聞)

 

 実際のツイートがこちら、

 

 これを見る限りは「なぜこのタイミングで!?」とざわつく必要はないのかと思います。朝日新聞の記事にも以下の通り説明が加えられています。

トランプ氏はメラニア夫人と共に船で、真珠湾攻撃で沈没した戦艦アリゾナの上に建てられたアリゾナ記念館を訪問。ハリス太平洋軍司令官に案内されながら、犠牲者に献花し、慰霊した。

  一般的なアメリカ人Twitterユーザーがアリゾナ記念館を訪れたら呟くことは「リメンバー・パールハーバー」に決まってますね。トランプさんの投稿にもそれ以上の意味はないのではないかと思います。

 

 一方、安倍総理の方はこの言葉を非常に意識して使用しています。

iwj.co.jp

iwj.co.jp

私たち日本人の子供たち、そしてオバマ大統領、皆さんアメリカ人の子供たちが、またその子供たち、孫たちが、そして世界中の人々が、パールハーバーを和解の象徴として記憶し続けてくれることを私は願います。そのための努力を、私たちはこれからも、惜しみなく続けていく。オバマ大統領とともに、ここに、固く、誓います。
※米国訪問 日米両首脳によるステートメント(首相官邸ホームページ、2016年12月27日)

 

 日本軍からの攻撃を受けた米側ではなく、安倍総理が述べた「リメンバー・パール・ハーバー」。「和解の象徴」として日米間で「合意」されたと思われるこのフレーズについて、神子島氏は次のように分析する。

 「『リメンバー・パール・ハーバー』という言葉は元々、卑怯な日本人が『サプライズ・アタック』をして米軍の人間を殺したという、『怒り』を表した言葉でした。しかしここ(安倍総理による演説)では、そうした『怒り』の内実に触れず、『和解の象徴』として(意味を)コロッと変えようとしているのではないでしょうか」

 

 無邪気に一人のアメリカ人として「リメンバー・パールハーバー」と呟くトランプ大統領と言葉に大きな意味を持たせようとする安倍総理。この二人の対比は興味深いですね。

いろいろな見方があるという話ー国内外のマスコミの報じ方の違い

 アメリカのトランプ大統領のTwitterアカウントが一時消滅した件はなかなか考えさせられる問題ですね。

 

トランプ氏のツイッターアカウント、しばし「消滅」 - BBCニュース

ツイッター社は「社内調査の結果、これはツイッターの顧客サポート従業員によるもので、この日が最終出社日だった。全面的な内部調査を実施している」とツイートで説明した

 

 企業のリスク管理の問題として捉ると非常に示唆に富んでいます。どのレベルの従業員がどれ程の権限をもちそれが会社にとってどんなリスクとなりえるのかというテーマは業種を問わずに非常に重要なものでしょう。例えばオフィスビルの清掃員の各エリアへの出入り権限をどう設定するべきかといった問題や、小売店でアルバイト従業員にレジ金の管理をどこまで任せるべきかといったアナログなケースでもリスクの評価と管理が必要となります。顧客サポート従業員がどういった職掌でどれほどの権限を有していたのかが分からないので現時点で詳しく論じることはできませんが、Twitter社が1従業員の独断でこのような世界的なニュースとなる事件を起こし得るというリスクをどう評価していたのかは気になるところですね。

 

 

 他方、このニュースをマスコミ論として考えることもできます。前述のBBCの記事を含めて海外メディアと日本メディアの記事を比べてみると興味深いことが分かります。

 

■海外メディア

トランプ氏のツイッターアカウントが一時ダウン-退職する社員の行為 - Bloomberg

トランプ大統領のTwitterアカウントを削除 最終出社日の従業員の仕業だった

 

■日本メディア

Twitter従業員、退職日にトランプ大統領のアカウントを失効させて英雄扱い - ITmedia NEWS

このツイートに対して「その11分間はここ最近で一番幸せな時間でした」「彼は英雄だ」「そのままにしておけばいいのに」など、アカウント失効を歓迎するコメントが多数寄せられている。

 トランプ氏はしばしばこのアカウントで対立する政治家などの悪口をツイートするので、Twitterルールに則ってアカウントを停止すべきだという意見もある。特に、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」と呼んだツイートは物議を醸した。その際Twitterは問題になったツイートを削除しない理由を「ツイートにニュース性があり、公共の利益に値する」からだと説明した

 

ツイッター、トランプ氏アカウント一時無効に 人為ミス :日本経済新聞

一方、ツイッターユーザーの間では「もう一度やってそのままにしておいてくれ」「ツイッターはひどすぎる。偽ニュースだ」といったコメントが飛び交った。

 

 いくつか、リンクを貼りましたが日本メディアの特徴として引用した通り「Twitterユーザーの反応」を記事の中に盛り込んでいるという点があります。ITmedia NEWSに至っては見出しにも反映されています。日本ではお馴染みの報道スタイルですね。

 

 ただ、この「Twitterユーザーの反応」というものはどれ程実態を反映しているのでしょうか?該当記事の画像を見てみると記事配信時点でTwitter社の投稿に対して少なくとも10,952件のリプライがあったことが分かります。

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 これだけの反応がああれば様々な意見が挙がるのが自然だと思うのですが、その中で紹介している意見に偏りがあれば発信者の恣意的な選別の結果と言えると思います。日経の記事は両論併記の形ですがITmedia NEWSの記事に関しては反トランプ的な意見のみを掲載した上に英雄扱いとまで報じるのは少しばかり異常に感じますね。

 

 こういった恣意的な抜粋により記事に偏った色をつける行為は日本メディアでしばしば見受けられます。これは、記者が情報を選別して記事にするといった形式の記事である以上仕方のないことなのだと思います。明確な意図を持って情報を歪めようとしていなくても、個人のフィルターを通す以上バイアスがかかるのは当然です。

 問題は記者がそのことにどれほど自覚的であるかということだと思います。その上で自分がどういうスタンスなのかを明らかにするか、可能な限り客観性を追求するかのどちらかのアプローチが必要になります。

 総選挙後のマスメディアを賑わしている「民意」は何かという問題も結局のところそこに行きつくんだろうなと思います。

 

そんなわけで、ひとつのニュースでもいろんな見方ができるんだなぁという話でした。

ハロウィンは日本で定着したといっていい

 今年もハロウィンが終わりましたが、私個人としてはハロウィンは日本で定着したなぁという感想を抱きました。ここ数年で一気に定着した印象があります。実際のところはどうなのでしょうか?

 

 GooogleTrendsで”ハロウィン”の検索数動向を調べてみました。

 毎年10月にピークを迎えるきれいなグラフですね。

 これをみると検索数は2011年から2015年にかけて4倍近くの大幅な増加を見せていることが分かります。その後の2016年、2017年は微減ですが高止まりと言っていいでしょう。まさに定着といっていい推移でしょう。

 

 もう少し長いスパンで見てみると定着の推移がよくわかります。

 主にネットで情報収集をしている私がここ数年で一気に定着したと感じたのはかなり実態に近かったと言えます。

 

 経済的な側面からも同様のことが読み取れます。

www.kinenbilabo.jp

biz-journal.jp

 日本記念日協会の引用ポリシーが面倒くさそうなので具体的な数字はリンク先を確認していただきたいのですが、ハロウィンの経済効果が2012年から急激な上昇を続け2016年、2017年と高止まりしていることが分かります。なんと、バレンタインデーの経済効果を越えているのですね。

 

 これほど急激に日本でハロウィンが定着した理由は何なのでしょうか?

 SNSの浸透によって個人の体験を発信し共有する習慣が広がり、ハロウィンがその習慣にマッチしたというのが私の仮定です。

 

ICT総研|市場調査・マーケティングカンパニー

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 日本でのSNS利用者はこの5年で1.5倍ほど増えています。(LINEユーザーを含む数ですので少しあれですが・・・・・・。)

 

 SNSの特徴としてユーザーが発信者になるということがあります。SNSの浸透に伴い「なにか変わったことをしてSNSなどで発信する一般人」という存在が世間に認知され増加しました。多くの人がSNSで発信するための何らかのネタを日常的に探している世の中になったと言えます。

 その中でハロウィンは非常にとっつきやすいイベントです。コンビニのハロウィンスイーツからお店などの飾りつけ、簡単なコスプレから渋谷の喧騒への愚痴等々・・・ネタには事欠きません。視覚的にも分かりやすく画像投稿との相性も良いです。

 

 少し捻って「地味ハロウィン」に参加して自分のセンスをアピールすることもできます。

togetter.com

 

 そんなわけでハロウィンは日本のSNSユーザーに欠かせないイベントとして定着したというお話でした。

 

 

(補足)

 もう少し根拠となる数字を探していたのですが中々論理的に仮説を検証することかないませんでした。ご容赦を。

 そんな中で見つけたインスタグラムについてのデータが興味深かったです。私の肌感覚よりもずっと最近の流行なんですね。

 

国内利用者数が2000万人突破したインスタグラムの成長の歴史とユーザー数推移 | インスタラボ

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 とくにこの検索数の急激な伸びは気になります。また別途調べてみたいですね。

国会質問時間配分問題の議論はまず立憲民主党の嘘を正すことから

 前のエントリーで触れた国会の質問時間配分の件ですが、野党側が猛反発していますね。そこで気になるのが「そもそもなんで現在の配分になっているのか?」ということですが、現在の配分に変更した旧民主党側の主張は以下の通りです。

 

安倍首相、諸問題「丁寧に答える」はずが野党質問時間削減検討を指示 : スポーツ報知

立憲民主党の福山哲郎幹事長(55)は、旧民主党政権時代に、当時野党だった自民党の要求で、与野党の質問時間の配分が「2対8」となったと説明。

 

 民主党は公明正大で懐の広い政党だったんですねぇ・・・・・・。そんな政党が無くなってしまったとはいやはや日本は大きな損失を被ったのではないでしょうか。

 しかし、過去の新聞記事を調べてみるとこんな記事も出てきます。

 

asahi.com(朝日新聞社):民主、国会質問する?しない? 小沢ルールへの対応迷走 - 2009政権交代

民主党が国会で質問するのかどうかで迷走している。小沢一郎幹事長の「政府・与党一元化」論を貫徹すれば質問はいらなくなるが、論戦の主舞台の予算委員会などで質問したいという議員の思いも強い。明確な方針がないまま臨時国会に突入している 

(中略)

だが、議員にとって質問は自身の力量を試す機会。テレビ中継で地元に向けて活躍をアピールできる場でもあり、山岡氏の「質問なし」発言には若手から不満が出ていた。

asahi.com(朝日新聞社):民主党と内閣、「小沢ルール」解釈めぐり右往左往 - 2009政権交代

見返りに得たのは、小沢氏に次ぐ幹事長代行のポストと参院民主党の独自性だ。党役員会の重要ポストは参院議員が占め、参院だけ政策審議会が存続。衆院ではやらなかった代表質問も、参院では行い、自ら質問に立った。

 一方、山岡賢次国会対策委員長は試行錯誤を続ける。

 「国会は野党が政府と議論する場」という小沢ルールをもとに、衆院での代表質問を見送った。衆院予算委員会でも与党質問をやめようとしたが、結局することにした。

 

  大分話が違いませんかね?

 この記事から読み取れるのは、小沢氏の民主党内での権力固めの為の道具として与党議員の国会質問時間が利用されていた悲しい過去です。結果として割りを食うのが与党の若手議員という構図はそのまま今に至るまで継続しているわけです。

 

 この議論において様々な意見があることは健全なのですが、前提として以下の点は共有しておかないと建設的な議論にはならないと思います。

 

・そもそも国会の慣例では「与党4割、野党6割」だった。

・現在の比率になった理由は「民主党内の事情」によるもの。

・民主党、自民党問わず与党の若手議員はこの比率に対して是正を求めている。

 

 この問題に突いて万人の納得のいく解は存在しえないと思います。各人が選挙で選ばれた議員であること、議院内閣制において政府と与党が限りなくイコールに近いことなど質問時間を配分するうえで考慮すべき要素が多くあります。また、多くの人の利害に直接影響しかねない問題です。だからこそ、それらの意見を集約して最大公約数的な答えを出す為の議論をすることこそが政治だと思います。

 

 現在の与野党の議論は政治になっているのでしょうか?

記事の見出しと本文で主語が異なるよくある話

 ニュースに対して見出しのつけ方で受け手に与える印象は大きく変わってきます。嘘は言ってないが本質が正しく伝わらないもしくは、捻じ曲げることができるという状況は恐ろしいものですね。

 

 例えば、この記事を見てみましょう。

www.jiji.com

 数ある報道の中では比較的一次情報に近い記事です。

自民党の石崎徹衆院議員ら当選3回有志が27日、国会内で森山裕国対委員長と会い、慣例でおおむね「与党2割、野党8割」としてきた質疑時間の配分を見直し、与党の持ち時間を拡大するよう要望した。これを受け、安倍晋三首相(党総裁)は萩生田光一幹事長代行に対し、配分見直しに取り組むよう指示した。

 この記事からは自民党の若手代議士が要望として提起したものだと読み取れます。記事中に名前の挙がっている石崎議員のブログを読むと、先の総選挙での大勝直後にも拘わらずかなりの危機意識・問題意識を持っていることがうかがえます。

若手自民党議員の立場から国会運営を2期5年間見てきましたが、残念ながら若手議員に質問時間が回ってくることはほとんどありませんでした。1回も質問時間が回ってこない議員が、「仕事をしていない」と週刊誌に叩かれることもありました。若手も国民の代表者であり、地域で聴いた国民の声を国政に届け、諸政策に反映させていくことは極めて重要な議員活動の一つであるにも関わらずです。
 
野党議員の方も、過剰な質問時間の配分によって、「すでに前の議員が発言したことと被ってしまいますが・・・」や「質問項目は以上の時間の中で十分潰しましたので、早く終わります」など、各委員会掛け持ちの中で十分な質問の「質」を確保出来ていないことを示す発言も審議の中で多数見受けられました。
 
こうした中、先の衆議院総選挙において、各党が公約を掲げて公明正大に選挙戦を戦い、我が党が訴える政策も、より多くのご支持を頂くことが出来ました。

  この問題提起はもっともなことだと思います。

 本来、国会の場で発言する権利は選挙で選ばれたすべての議員に公平に与えられるべきです。日本での内閣が与党と非常に近いという事情を鑑みれば、ある程度野党の配分を増やすことは認めざるを得ないと思います。しかし、6割の議席を持つ与党が2割の発言機会しかないというのは到底納得のいくものではありません。その状況で国会での実績を評価されるというのは与党の若手議員にとってフェアではありません。民主党政権になる前の慣例では「与党4割、野党6割」だったそうですがこの辺りがベストではないにせよベターなラインだと考えます。

 さて、この石崎議員らの問題提起に対して与野党で議論を深めるのが健全なあり方だと思いますが、その前のメディアの報じ方で躓いています。

www.hochi.co.jp

 完全に主語が入れ替わっていますね(笑)。安倍首相が質問封じのために野党の質問時間を減らすように指示したという趣旨になっています。さらに驚くことにこの記事では石崎議員ら若手議員の要望が発端だという事実には触れてすらいません。

 言論封殺の「アベ政治」という印象操作を狙っているようにしか思えませんね。

 

 ちなみに何故民主党政権では「与党2割、野党8割」というとんでもない配分にしたのでしょうか?報知の記事によると、

立憲民主党の福山哲郎幹事長(55)は、旧民主党政権時代に、当時野党だった自民党の要求で、与野党の質問時間の配分が「2対8」となったと説明。

 とのことですが、あの当時の民意を受けた大正義民主党が自民党の要求を受けたのでしょうか・・・・・・。

 

真偽の不明な情報ですがネット上ではこんな記事もありました。

 

う~ん。どうなんでしょう。

休日は土地に支配されるもの

今週のお題「休日の過ごし方」

 

 この夏に高校卒業以来15年間住んでいた東京を離れて鹿児島の実家に戻ってきたことで私の休日の過ごし方は大きく変わりました。インターネットの普及やLCCの隆盛などによって地球はだいぶ小さくなったと思いますが、実際に日本の中心から本土最南端の地まで移動してみるとまだまだ地球というか日本は大きいなと感じます。

 

 そもそも車社会で移動に公共交通機関を使うことが稀であるということは休日以前に仕事始め生活そのものに大きな影響を与えているのですが、何気ない休日の過ごし方の中にも大きな違いが生まれてきます。

 

■テレビやネットで見たお勧めスポットに気軽に行けない。

 

 テレビは当然のこととしてネットメディアの情報の多くも関東地方在住者向けになっていることに改めて驚かされました。面白い居酒屋、おいしいラーメン屋、肉フェス、●●フェス・・・・・・etc

 これらの殆どが関東地方、それも東京都内の情報なんですよね。ネットニュースで話題のあの店を覗きに行ってみようかとか、うまいと評判のあのカレーを食べに行こうというのがかつての休日の過ごし方だったのですが、地方に引っ越してからは殆どなくなりました。ネットで日本中、ひいては世界中が繋がっている感覚でしたが実際はかなり東京中心になっていることに気づきました。

 

■アイドルに会いに行けない

 

 全てではありませんが、一部の関東在住者にとってアイドルは会いに行くものです。少なくとも週に1回、多い週には毎日のように会いに行けるのがアイドルという存在でした。週末にもなればいくつもの会場でアイドルライブが開催されています。そんな当たり前も地方にはないんですね。

 皮肉なことですが東京に住んでいたころよりもテレビに出ているアイドルについて詳しくなってしまいました(笑)アイドルに会いに行けているうちはわざわざテレビなんて見ません。ライブに行って刺さったアイドルを追いかければよかったのですから。

 一方、地方でアイドルというかかわいい女の子に触れる機会はテレビしかありません。テレビを見ながらもかわいい子を無意識に探すようになりました。そして、東京にいる頃は見向きもしなかったテレビの中のアイドルについて調べるようになりました。不思議ですね。

 

■地元の名所は3か月で大体制覇できる

 

 そんなわけで休日にやっていたことが殆ど不可能になった結果、やることと言えばドライブくらいのものです。しかし、悲しいことに地元の名所はあっという間に制覇してしまいました。ちなみに、このブログに使用している空画像は全てドライブ先で撮影したものです。綺麗でしょ?

 知っているつもりだった地元も改めて行ってみると意外な発見があったり、都会では味わえない景色や体験もあり有意義なものでした。

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日本にも凱旋門って存在するの知ってました?

 

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こんな素敵な写真も撮れました!!

 

■最終的にたどり着いたのは

 

 そんなわけで新鮮で楽しい田舎の休日ライフでしたが、あっという間に行く場所が無くなっちゃいました。だから田舎なんですね(笑)

 どうしよう、本格的にやることが無くなってきたぞ・・・・・・。

 そんなときに思いついた新しい趣味こそがこのブログだったのです。

 

結論:田舎に引っ越した結果自然に回帰しかけたが結局ネットに舞い戻った。

 

 てなわけでこれからものんびり更新しますのでよろしくお願いします。

ヴェルディが・・・・・・。

 もはやヴェルディ川崎の栄光の時代を覚えている方が少数派なのかもしれませんが・・・・・・。

 

  まぁ、東京のクラブとして地域密着した結果と捉えれば良いことなのかもしれませんね。みすず学苑の本校のある西荻窪なんかは商店街中にFC東京のフラッグがはためいているお膝元ですから、一矢報いたという見方もできますね(笑)

 

 個人的にはFC東京の方がみすず学苑のカラーにはあっている気もしますが・・・・・・。

「フェイクニュース研究会」に心底がっかりした話

 今回の総選挙に先立ちフェイクニュースについて調査し発表するプロジェクトが立ち上がり個人的には期待していたのですが上がってきた「フェイク判定」を見てがっかりしてしまいました。

jcej.hatenablog.com


 現時点(2017年10月10日14時)で4つのニュースについて「フェイク判定」しましたと発表されていますが、とても「有権者の適切な判断をサポートする」のに有用なものとは思えません。

 

 では、なにががっかりなのかについて以下の記事を例に説明します。

jcej.hatenablog.com

 

 こちらの「フェイク判定」ですが記載内容は以下の通りです。

民進党安住淳氏に対し、「『憲法改正は前から賛成だ』希望の党で公認候補を目指す民進議員が変節」とする記事が9月30日、ネットサイト「アノニマスポスト(anonymous post)」に掲載されました。フェイクニュース確認プロジェクトの参加者は、安住氏が「変節」した事実はなく、この記事を「フェイク」と判定しました。

<フェイク判定をした記者:3人>

  これは現在発表されている4記事全てに当てはまることですが情報量が圧倒的に少ないのです。どの媒体によってどういった主張がなされていて、その論拠が事実によらないものであるとどのように立証された為フェイクニュースであるという筋立てがありません。そもそもフェイクニュースとする記事へのリンクすらない時点で読者に検証し判断させる気はないと勘ぐってしまいたくなります。

 

 実際に上記の筋立てに沿って検証してみましょう。

 

■問題となる報道

 今回検証する対象は「アノニマスポスト」の上記リンクの「【 #衆院選2017 】民進党・安住 「憲法改正は前から賛成だ」希望の党で公認候補を目指す民進議員が変節~ネットの反応「民進党の議員どもの正体が見えて面白いな」「この発言覚えとけよw ブーメランになるからw」」という記事です。この記事の構成をまとめると以下のようになっています。

 

①朝日新聞の記事「 きのうまで改憲批判していたが…民進予定者、発言自粛も(朝日新聞DIGITAL)」の引用

②上記に対するネットの反応として「希望の党の幹部からして 、これだもんなぁ 2015年の発言」と2015年と2017年で希望の等の細野氏が安保法制に対して正反対のことを述べているテロップのついたテレビ画面のキャプチャ画像の貼り付け

 

⇒記事の要旨:安住氏をはじめとした「民進党議員が」次々に変節発言をしている。

 

 これに対して「安住氏が」変節した事実はないためフェイクニュースであると判定しています。このファクトチェックは適切なのでしょうか?

 

 アノニマスポストが論拠とする朝日新聞の記事はこのようになっています。

宮城2区から立候補を予定する鎌田さゆり氏は、民進が希望に合流すると伝えられた28日以降、毎日昼に続ける仙台市内での街頭演説で、憲法改正や安保に極端に触れなくなった。

前日までは安倍晋三首相を指して「憲法を改悪して再び海外へ戦争に出かける憲法に作り直しをする」などと批判。しかし、28日以降は「大義なき解散」への批判などに力点を移した。希望への配慮にも映る。

 取材に対し、鎌田氏は「目的は安倍政権を倒してこの国の政治を根本から変えること。その目標に向かってただ進むだけ」とし、自身のスタンスに変わりはないと強調する。

(中略)

 ほかの予定者からも希望の方針に沿った発言が相次ぐ。5区の安住淳氏は「前から憲法改正に賛成」。3区の一條芳弘氏は「憲法を絶対変えちゃいけないとは思わない」、4区の坂東毅彦氏は「すべて反対という立場ではない」。

  鎌田さゆり氏がの演説内容が変わった事実が書かれており、その文脈で「ほかの予定者からも希望の方針に沿った発言が相次ぐ。5区の安住淳氏は「前から憲法改正に賛成」。」と続いています。

  確かに、安住氏が希望の党の方針に沿った発言をしたとの記述はありますが、変節したとの直接的な記述はありません。この一文を持って朝日新聞社の井上充昌氏が安住氏は変節したと主張しているか否かは現代文の試験問題にでもすれば帰ってくる答案の内容は真っ二つに割れるかもしれません。学生時代、センター試験の現代文の成績だけは何故か良かった私は、「文中に直接示唆する記述がないので変節したとするのは誤り」派です。

 

 さて、この日本ジャーナリスト教育センター始めとするお歴々は現代文の読解問題の添削をなさっているのでしょうか?そうではありませんよね。フェイクニュースか否かの判定をすると宣言されています。であるからにはやるべきことはもっとある筈です。

 

 この時点で明らかになっているのは「問題の記事が引用しているソースから安住氏が変節したと読み取ることは難しい。」ということに過ぎません。

 ここで止まってしまっては「有権者の適切な判断をサポートする」ことはできません。ジャーナリストであるならば大上段から判定結果だけをアナウンスするのではなく過程を含めた判断の材料を提供するべきではないでしょうか。

 

 例えば、安住氏の過去の発言に以下のようなものがあります。

www.minshin.or.jp

 「わが党としても憲法改正については積極的な議論を行っているが9条についていじろうという考えはほぼないというのはコンセンサスだと思う。戦後歩んできた道を踏み外していくという憲法改正にはくみしないということは概ねコンセンサスを得ているのではないか

  党の代表代行としての発言ですが概ね安住氏の見解と受け取ってよいと思います。この「憲法改正については積極的な議論を行っているが」という部分を「前から憲法改正に賛成」という発言の裏付けだという見方もできますし、希望の党から立候補しその政策を受け入れるのであれば「9条についていじろうという考えはほぼないというのはコンセンサスだと思う。」という部分からの変節と言えるでしょう。

 

 この議論自体は安住氏が無所属で立候補ということであまり意味をなさなくなってしまいましたが・・・・・・。

 

 個人的な見解としてこのアノニマスポストの記事に問題はあると考えています。ニュースソースを恣意的な見せ方により読者に対してある種の印象操作を図ろうという意図が見えてきます。しかし、これ自体は珍しいことではなく参照元の朝日新聞の記事自体もその見出し、構成にそのような意図が見受けられます。

 私は、これらをフェイクニュースとして扱うことには反対です。もちろんマスメディア、そして個人がメディアを持つようになった時代の情報発信のあり方の問題として別の文脈で議論するべきことだとは思いますが。

 

 では、フェイクニュースとは何か? 

 英国の国民投票で見られた根拠のない虚偽の数字の流布や、アメリカ大統領選で見られた根も葉もない特定の候補者に利する、または害するようなニュースの流布こそが危険視されるものです。これらに対して目を光らせてしっかりと真偽を調べることが重要です。その時に、それぞれに対して真偽のみをぶつけるのでなくその判定の論拠を明らかにすることは不可欠だと考えます。

 

 フェイクニュースというものに対する危機感は皆で共有し排除していく仕組み作りが必要だと考えています。だからこそ、ここまで読んでいただいた方には私のがっかり具合に共感していただけると思っています。

 こうじゃないでしょう!!!!!こんなくだらないポーズでフェイクニュースと戦いましたなんて言っている人間がいるということに心底がっかりしています。こんなフェイク判定を続けていると結果的には信じたいものを信じる人々の集まりしか出来上がらないと思います。

prime readingでお勧めは・・・・・・。

 amazonプライム会員向けの新サービス 「prime reading」が開始されました。

internet.watch.impress.co.jp

 正直、amazonで無料の電子書籍というと後々権利関係でいろいろ揉め始めそうな予感もありますが、 ひとまず始まったものは楽しもうかというスタンスで生いきたいと思います。

 それでせっかくなのでラインナップを見てみたので、いくつかお勧めの作品をご紹介します。

 

■オーレ!

www.amazon.co.jp

 こちらはサッカー漫画何ですが地方弱小クラブの運営面をメインテーマに据えてることが特徴の作品です。J3が賑わいを見せて地方クラブも活性化している現在からみると10年前にその辺を題材に作品を書いている凄さも併せて感じます。

 純粋に漫画としても楽しいですし、サッカー界の一面のリアルを見ることができますので未読の方にはぜひおすすめです。 

 

■バーナード嬢曰く。

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 基本的には図書館で本についてくっちゃべってるだけの漫画です。それでも面白いのは読書好きあるあるとキャラクター同士の絶妙な掛け合いのおかげです。百合好きな方にも一定の満足を期待していただいてよいかと。面白くて為になる(?)そんな作品ですので読んでみてください。

 

■絶対不発アトミックガール

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 くだらないけど笑える漫画です。

日本の内閣総理大臣・有栖川アリスもついに開発を決意、
国民の血税を惜しみなく使いまくる。
しかし完成したのは、
見ただけでヘッポコだとわかる
ミニスカ軍服姿の少女ロボ・よしえだった――

 あらすじで分かるダメさに悔しいけど笑っちゃう小ネタをまぶすとこの作品になります。こころを広く持ち頭を空っぽにして読むと幸せになれます(笑)