記事の見出しと本文で主語が異なるよくある話
ニュースに対して見出しのつけ方で受け手に与える印象は大きく変わってきます。嘘は言ってないが本質が正しく伝わらないもしくは、捻じ曲げることができるという状況は恐ろしいものですね。
例えば、この記事を見てみましょう。
数ある報道の中では比較的一次情報に近い記事です。
自民党の石崎徹衆院議員ら当選3回有志が27日、国会内で森山裕国対委員長と会い、慣例でおおむね「与党2割、野党8割」としてきた質疑時間の配分を見直し、与党の持ち時間を拡大するよう要望した。これを受け、安倍晋三首相(党総裁)は萩生田光一幹事長代行に対し、配分見直しに取り組むよう指示した。
この記事からは自民党の若手代議士が要望として提起したものだと読み取れます。記事中に名前の挙がっている石崎議員のブログを読むと、先の総選挙での大勝直後にも拘わらずかなりの危機意識・問題意識を持っていることがうかがえます。
若手自民党議員の立場から国会運営を2期5年間見てきましたが、残念ながら若手議員に質問時間が回ってくることはほとんどありませんでした。1回も質問時間が回ってこない議員が、「仕事をしていない」と週刊誌に叩かれることもありました。若手も国民の代表者であり、地域で聴いた国民の声を国政に届け、諸政策に反映させていくことは極めて重要な議員活動の一つであるにも関わらずです。野党議員の方も、過剰な質問時間の配分によって、「すでに前の議員が発言したことと被ってしまいますが・・・」や「質問項目は以上の時間の中で十分潰しましたので、早く終わります」など、各委員会掛け持ちの中で十分な質問の「質」を確保出来ていないことを示す発言も審議の中で多数見受けられました。こうした中、先の衆議院総選挙において、各党が公約を掲げて公明正大に選挙戦を戦い、我が党が訴える政策も、より多くのご支持を頂くことが出来ました。
この問題提起はもっともなことだと思います。
本来、国会の場で発言する権利は選挙で選ばれたすべての議員に公平に与えられるべきです。日本での内閣が与党と非常に近いという事情を鑑みれば、ある程度野党の配分を増やすことは認めざるを得ないと思います。しかし、6割の議席を持つ与党が2割の発言機会しかないというのは到底納得のいくものではありません。その状況で国会での実績を評価されるというのは与党の若手議員にとってフェアではありません。民主党政権になる前の慣例では「与党4割、野党6割」だったそうですがこの辺りがベストではないにせよベターなラインだと考えます。
完全に主語が入れ替わっていますね(笑)。安倍首相が質問封じのために野党の質問時間を減らすように指示したという趣旨になっています。さらに驚くことにこの記事では石崎議員ら若手議員の要望が発端だという事実には触れてすらいません。
言論封殺の「アベ政治」という印象操作を狙っているようにしか思えませんね。
ちなみに何故民主党政権では「与党2割、野党8割」というとんでもない配分にしたのでしょうか?報知の記事によると、
立憲民主党の福山哲郎幹事長(55)は、旧民主党政権時代に、当時野党だった自民党の要求で、与野党の質問時間の配分が「2対8」となったと説明。
とのことですが、あの当時の民意を受けた大正義民主党が自民党の要求を受けたのでしょうか・・・・・・。
真偽の不明な情報ですがネット上ではこんな記事もありました。
民主党政権時に与党の質問時間を大幅に減らしたのは、何も野党に配慮したからではなく、与党内の政策不一致が露わになるのを避けるためだった、って当時民主党で秘書をしていた私は知ってるけど、どこも報じないね。
— 田中慧(俗物的) (@Tanaka_Kei) 2017年10月28日
鳩山政権ができた時の小沢一郎幹事長の党運営の基本として
— 田中慧(俗物的) (@Tanaka_Kei) 2017年10月28日
・政策は官邸で決める。党での政策議論はガス抜き。だから議決もしない。
・政権与党なのだから政府に文句言わせない。だから委員会質問もさせない。
だったんですよ。それが後に小沢グループ自身を苦しめるのだが・・・
野党議員が質問回数だけを地元でアピールしたり、どっかのマスコミが、国会での質問がないことだけを取り上げて「国会議員として働いてない」なんて批判しだすもんだから、そりゃ与党の若手議員からは「もっと質問時間をよこせ」という要求が高まるに決まってるじゃないか。
— 田中慧(俗物的) (@Tanaka_Kei) 2017年10月28日
う~ん。どうなんでしょう。